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新規事業立ち上げの進め方|事業の種を生む手法と7つのステージ

新規事業の立ち上げは、未知の環境への挑戦です。そこには、どんな事業にも必ず当てはまる「正解」は存在しません。しかし、成功の確率を高める方法はあります。熱意を持って課題に取り組みつつ、闇雲に進むのではなく、適切な手順と判断基準のもと段階的に進めていくことで、成功の確度を大きく高められるのです。本記事では、新規事業の「種(着想)」を生み出すための「思考の型」と「アプローチ」、そして立ち上げのプロセスを「7つのステージ」に分けて解説します。さらに、単発の成功で終わらせず、新規事業を継続的に生み出し続ける「強い企業」をつくるためのポイントについてもお伝えします。

新規事業を立ち上げる3つのメリット

多くの企業が困難を伴う「新規事業開発」に挑むのは、単に売上を上げるためだけではありません。新規事業への挑戦は、既存事業を含めた会社全体のトランスフォーメーション(変革)に非常に効果的なのです。企業が新規事業開発に取り組むメリットは、大きく3つ挙げられます。

新しい収益の獲得

新規事業開発の最大の目的は、将来的に会社の屋台骨となるような新しい収益の柱をつくる ことです。市場環境が変化する現代において、「一本足打法」からの脱却は企業にとって不可欠な生存戦略といえます。

既存事業とのシナジー効果

新規事業で得られた知見やノウハウは、そのプロジェクトだけの資産ではありません。既存事業に還元することで、思わぬシナジーを生み出します。新しい視点や技術が、既存のビジネスモデルをブラッシュアップするきっかけになるのです。

人の育成と文化の醸成

事業創出という経験は、プロジェクトメンバーを劇的に成長させます。そして、挑戦する姿勢が評価されることで、社内全体に「新たな挑戦を促す企業文化」が浸透していきます。人と組織が変わることで、より強い企業へと生まれ変われるのです。

新規事業を生み出す手法

では、実際にどのように新規事業を生み出せばよいのでしょうか。AlphaDriveでは、事業創出の手法を「4つの思考の型」と「5つのアプローチ」の掛け合わせという、独自の切り口で整理しています。

事業創出の「4つの思考の型」

まずは、アイデアをどこから発想するかという「思考の型」です。縦軸に「社外・顧客・市場視点」か「自社視点」か、横軸に「現在あるものから出発」するか「未来の状態から逆算」するかを置き、4つの起点(ドリブン)を定義します。

■4つのドリブンと概要

新規事業アプローチ一覧

顧客開発ドリブン
「目の前にいる顧客」にとことん向き合うスタイル。
現場での徹底的な観察やヒアリングを通じて本質的な課題を見つけ出し、 検証を繰り返しながら解決策を練り上げる。
市場トレンドドリブン
今の顧客ではなく、「未来」を見据えるスタイル。
社会の変化や新しい技術トレンドを捉え、 そこから逆算して次世代の価値提案を行う。
R&D・アセットドリブン
「自社」を見つめ直すスタイル。
保有する特許や技術、アセット(資産)を起点にし、 「この技術はほかにどんな用途で使えるか?」を探る。
経営戦略ドリブン
会社としての「あるべき姿」から逆算するスタイル。
戦略主導でテーマや領域を定め、 トップダウン型でプロジェクトを組成する場合によく用いられる。

新規事業立ち上げ5つのアプローチ

次に、組織としてどう動くかという「アプローチ」の仕方です。これは主に5つの方法があります。

■5つのアプローチと概要

新規事業の立ち上げ手法

ボトムアップ型
現場社員のアイデアや気づき、社内の新規事業コンテストなどを起点に事業を立ち上げる方法。
トップダウン型
経営層が戦略や方針を打ち出し、特命の専任チームを編成して強力に推進する方法。
M&A
自社で事業をゼロから創るのではなく、すでに実績のある企業を買収・統合することで、 新しい事業領域へスピーディーに参入する方法。
マイナー出資
新興企業(スタートアップなど)に出資を行い、連携や支援を通じて、 その領域の知見やネットワークを獲得する方法。
事業提携
一社単独ではなく、外部企業や大学、自治体などと手を組み、 新しいサービスや技術を共創する方法。

企業がこれから新規事業に取り組むのであれば、まずは「ボトムアップ型」をおすすめします。

ボトムアップ型は、社内起業家の数だけ「事業の種(着想)」が生まれます。新規事業開発は、「千三つ」と言われるほど不確実性が高いからこそ、たくさんの種を起点に仮説検証を繰り返す「多産多死」の考えかたですすめるもの。種が多いほど成功の確度が高まるのです。

そして何より、現場の社員がみずから考え動く活動を通して、社内に「事業開発の視点を持った人材」が育ちます。これこそが、継続的な事業創出アプローチの強固な土台となるのです。

なお、実際の事業開発では、「顧客開発ドリブン×ボトムアップ型」「R&D・アセットドリブン×ボトムアップ型」のように、型とアプローチを組み合わせて事業の種を生み出します。どの手法が正解というわけではなく、それぞれの強みと弱みを理解しながら進めることが重要です。

新規事業立ち上げの7ステージ

ここからは、より実践的なプロセスの話に入りましょう。新規事業の立ち上げにおいて最も避けるべきは、検証不足のまま多額の投資をして撤退すること。これを防ぐために推奨しているのが「ステージゲート法」です。

AlphaDriveでは、立ち上げの流れを以下の7つのステージに分解しています。一つひとつクリアしていくことで、着実に成功へと近づけます。

各ステージの詳細については、こちらの記事も併せてご参照ください。
【関連記事】「新規事業コンサルティングとは?支援内容と成功に導く活用法」

ステージ1:WILL/ENTRY(アイデア創出)

すべての始まりとなるWILL/ENTRYステージは、アイディエーション(発想)のフェーズです。ここで最も重要なのは、「起案者の熱意(WILL)」と「行動量」。想定する顧客がいる現場へ何度も足を運び、泥臭くヒアリングを行います。顧客の声を大量に浴びることで、課題の解像度が上がります

ステージ2:MVP1(顧客/課題実証)

ヒアリングを重ねるうち、「課題の本質はこれではないか?」という仮説が生まれます。その仮説が正しいかを、主に顧客への再ヒアリングで検証します。これがMVP1(Minimum Viable Product:検証可能な最小限の製品)のステージです。「顧客が本当にお金を払ってでも解決したい課題」を見極めます。

ステージ3:MVP2(ソリューション実証)

課題が明確になったところで、その解決策(ソリューション)を検証するのが、MVP2のステージです。実際に動くプロトタイプなどを作成し、顧客にふれてもらいます。そうして「実現可能なソリューション」を特定できたところで、具体的な事業計画書へと落とし込んでいきます

事業計画書の作成については、こちらの記事も併せてご参照ください。
【関連記事】「事業計画書とは?作成時の注意点や構成、盛り込むべき項目を解説」

ステージ4:SEED(事業性実証)

SEEDステージの目的は、実際に商売を成立させることです。ステージ1~3で磨き上げたアイデアを製品として世に出します。顧客から対価を得てサービスを提供するサイクルを回しながら、事業を拡大させるためのカギ(グロースドライバー)を探します

ステージ5:ALPHA(事業立ち上げ)

ALPHAは本格的な事業立ち上げのフェーズです。明確な事業目標を定め、そのクリアを目指し、必要十分な資金や人材を投入して事業拡大のための施策を一気に実行します。

ここで意識していただきたいのが、フェーズの質的変化です。ステージ4までは「0→1(ゼロイチ)」のフェーズでしたが、ここからは「1→10(イチジュウ)」のフェーズへと移行します。求められるスキルもマインドセットも大きく変わる、まったく異なるフェーズが始まるのだと認識してください。

■「0→1フェーズ」と「1→10フェーズ」の違い

事業化後の成功に必要な要素については、こちらの記事も併せてご参照ください。
【関連記事】「事業化採択後の事業開発で失敗しないための重要ポイント – プロが教える成功への道筋

ステージ6:BETA(事業拡大)

事業が軌道に乗ってきたら、それが一過性のものでなく、持続的に拡大していく仕組みを構築します。これが、BETAのステージです。組織としての体制を整え、既存事業と遜色のないガバナンス(監視・統制の仕組み)を整備・構築していくのもこの時期の重要な役割といえます。

ステージ7:EXIT(部門化/会社化)

最終ステージはEXIT(部門化/会社化)です。新規事業という特別な枠組みから離れ、ひとつの独立した事業部、あるいは別会社として既存事業と肩を並べる存在になります。ここまで来て初めて、新規事業立ち上げは完了し、企業の新たな歴史の一部となるのです。

新規事業を継続的に生み出す企業づくり

新規事業開発を単発のプロジェクトで終わらせず、次々と新しい事業が生まれてくる強い組織をつくるにはどうすればよいでしょうか。 ポイントは、社内に適切な体制を整えることです。

AlphaDriveでは、新規事業開発を「事業づくりである以上に、人づくりであり、文化をつくること」と考えています。そこで、新規事業が継続的に生まれ、成長し続ける企業をつくるために、以下の5つの領域で総合的な支援を行っています。

■AlphaDriveの支援領域

新規事業コンサルティングの支援領域

仕組みをつくる
  • 評価基準・人事制度、投資制度、管理会計、決裁権限などを整備する
  • 新規事業戦略の立案から実行までを一気通貫で支援し、ノウハウを伝える
人をつくる
  • 新規事業を生み出す人材を育成するため、メンタリングや研修を通じて能力を高める
  • 情報収集力、課題発見力、ロジカルシンキングなどを体系的に伸ばし、挑戦できる人材を増やす
事業を生み出す
  • 顧客ヒアリング、プロトタイピング、ビジネスモデル設計、戦略策定など、アイデアを事業に転換するプロセスを体系的に支援する
事業を育てる
  • サービス開発、マーケティング、セールスなど、事業を拡大させるための支援を行う
文化をつくる
  • 社内起業家と新規事業を既存事業と接続し、組織全体の変革を促進する
  • 新規事業を着火剤とし、挑戦を歓迎する文化を醸成する

段階的な取り組みが新規事業の成功確率を高める

新規事業の立ち上げには、既存の事業や組織のルールに当てはまらない、多くの論点や課題が次々と現れます。トラブルを未然に防ぐには、論点・課題を整理し、適切な判断基準のもとで段階的に検証を進めることが必要。そこで、ステージゲート法を用いて一つひとつクリアしていくことが重要なのです。

AlphaDriveのコンサルタントは、全員が実際に大企業の中で新規事業開発を推進した経験や、事業創出を行った経験を持つメンバーです。経験者としての「実践知」と、数多くの新規事業支援により蓄積したノウハウをもとに、最適解へと導くべく伴走支援します。

新規事業に挑戦する方は、ぜひAlphaDriveにご相談ください。



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よくあるご質問

新規事業を立ち上げるメリットは?

企業にとって、新規事業を立ち上げるメリットは大きく3つあります。

<新規事業開発に取り組み3つのメリット>

  • 新しい収益の柱を獲得し、事業を育てていけること
  • 新規事業で得たノウハウを、既存事業に生かせること
  • 事業創出の経験を通じて従業員が育ち、新たな挑戦を促す企業文化が醸成されること

新規事業を生み出す手法は?

AlphaDriveでは、事業創出の手法を「4つの思考の型」と「5つのアプローチ」の掛け合わせという切り口で整理しています。

<4つの思考の型>
顧客開発ドリブン
市場トレンドドリブン
R&D・アセットドリブン
経営戦略ドリブン
<5つのアプローチ>
ボトムアップ
トップダウン
M&A
マイナー出資
事業提携

新規事業を生み出す企業づくりのポイントは?

新規事業を継続的に生み出す企業をつくるには、社内に適切な体制を整えることが重要です。

AlphaDriveは、新規事業開発を「事業づくりである以上に、人づくりであり企業文化をつくること」であると考え、「仕組み」「人」「事業創出」「事業育成」「文化」の5つの領域で、総合的な支援を行っています。

AlphaDriveの新規事業支援について

AlphaDriveは、企業の新規事業創出を仕組みづくりから立ち上げまで、一気通貫で支援しています。
事業創出のインキュベーションから事業立ち上げ後のアクセラレーション、オープンイノベーション、R&D 組織での新規事業開発まで。これまでに 260 社を支援し、23,800 件の事業アイデアを創出、250 件の事業化・会社化を実現してきました。事業開発に対する伴走だけでなく、プロダクト開発、マーケティング、セールスなど各領域での実務支援を通じて、事業化後のフェーズを成功に導くご支援を行っています。