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新規事業が思いつかないときはどうする?アイデアの着想を得る方法

新規事業開発の初期段階では、「筋の良いアイデアが思いつかない」と悩むこともあるでしょう。しかし、最初から画期的なアイデアは必要ありません。事業の成否を分けるのは、アイデアそのものよりも、「顧客が抱える課題」をいかに正確に捉えられるかがカギなのです。

本記事では、新規事業成功の確度を高める考え方や、着想を得るための具体的なアプローチ、そして顧客ヒアリングを通じた課題の深掘り方について解説します。

新規事業は「多産多死」の手法で進める

不確実性の高い現代において、新規事業開発は「多産多死」の手法で進めるのが合理的です。

新規事業において、最初に立案した1つのアイデアがそのままの形で成功へとつながるケースは稀といえます。初期段階では、1つのアイデアを完璧に磨きあげるよりも、たくさんの「事業の種(インサイト)」を見つけ、仮説検証を繰り返しながら見込みのないものは止め、良さそうなものを次へと進めていくほうが成功確度が高まります。これが「多産多死」のアプローチです。

まずは「種」をたくさん見つけ出すことが、成功への第一歩となります。

事業の種を見つける「アイデアの起点」

事業の「種」は、以下の4つの要素を掛け合わせにより、たくさん見つけることができます。

■事業の種を見つけるための4要素

・多産の方法:どうやって生み出すか(公募、選抜、オープンイノベーション など)
・アイデアの起点:何から生み出すか(WILL、顧客課題、自社課題、アセット起点 など)
・アイデアの起案者:どこから生まれるか(自社起点、他社起点)
・事業推進者:誰が事業として進めるか(自社、他社、両者)

4つの要素のうち「何から生み出すか」という「アイデアの起点」は、ここに挙げた以上にさまざまなバリエーションがあります。「戦略テーマ」や「技術起点」については、元となる戦略・技術によってもポイントが異なるため、まずは比較的取り組みやすい「WILL」「自社課題」「アセット起点」の3つのパターンについて解説しましょう。

WILL起点で種を見つけるポイント

WILL(意志)起点とは、起案者自身の意志や個人的な実体験にもとづいた、「これを解決したい」という想いを起点にするパターンです。自分が「課題の当事者」であるため、課題の解像度が高い状態からスタートでき、最も取り組みやすい起点といえます。

誰もが日常生活や業務の中で、ちょっとした不満や不便、違和感を覚えています。それを「仕方がないこと」と流さず、「なぜこの問題が起きているのか」と深掘りする意識を持つことがポイントです。

自社課題起点で種を見つけるポイント

自社課題起点とは、自社の業務フローの中にある課題や、非効率なプロセスに着目して種を見つけ出す方法です。

その課題は自社固有のものか、業界共通の構造的課題なのか、課題を解決するインパクトはどれくらい大きいかを考察します。自社改善で終わってしまわず、その自社での成果を元に外販をしていくこと、もしくは既存商品の改善によって新規事業創出に繋がることも多くあります。

すでにその課題を解決できるスタートアップが存在していた場合も、取り組む価値がないと認定するには尚早です。自社の課題解決につながりますし、その企業と共同で新たなサービスを生み出せる可能性もあります。

アセット起点で種を見つけるポイント

アセット起点とは、自社が持つ特許、顧客基盤、データ、ブランドといったアセット(経営資源・強み)を起点に種を見つけ出す考え方です。既存の強みを活用できるため、実現可能性が高く、検証もスムーズに進みます。

自社が保有する技術やデータ、販路などが、別の業界では喉から手が出るほど欲しいものであることも珍しくありません。一方で、大企業であるほど自部署以外の強みを見逃してしまいがちです。

そこで、まずは全社を視野に入れたアセットの棚卸から始めることをおすすめします。自社のWebサイトやアニュアルレポートを読み解き、技術部門へのヒアリングを通して、自社が「どこへ向かおうとしているのか」「何を強みとして捉えているか」を把握しましょう。こうして「自社にしか提供できない独自の価値」を再定義することで、実現性の高いアイデアが生まれます。

自社が保有するアセットの例としては、下記のようなものが挙げられます。

【出典】:動画タイトル:[【アイデア不要】新規事業の立ち上げは〇〇から始めよ!アイデアより顧客が大事な理由] / チャンネル名:[新規事業・人] URL:https://www.youtube.com/watch?v=Fk9pAYjHDPQ

顧客課題起点で種を見つけるポイント

前述の3つ(自身/自社のWILL・課題・アセット)と比較すると取り組みの難度は少々上がるものの、PMF(Product Market Fit:市場適合性)の高い事業となりやすいのが、「顧客課題起点」のアプローチです。顧客課題起点では、自分たちの中に答えがなく、課題の解像度が低い状態からスタートすることも多いため、徹底した顧客ヒアリングが不可欠となります。

ヒアリングで課題の解像度を上げる

顧客課題起点の基本は、ヒアリングです。ただし、「新規事業の種を見つける」ためのヒアリングは、「仮説検証」のためのヒアリングとは性質が異なります。顧客の声をたくさん浴びて、課題の解像度を上げることが目的です。

顧客が「既存事業のお客様」である場合は、直接会う前に社内で最もその顧客を理解している担当社員(営業やサポート)に話を聞き、最低限の知識を把握してから臨みましょう。

ヒアリング対象となる顧客の選び方

ヒアリング対象の選定も重要です。具体的には、「すでに課題解決のため、時間やお金といったリソースを投じていながら、解決できていない人(企業)」にヒアリングを行いましょう。

本気で課題解決に取り組んでいる人へのヒアリングは、解像度が格段にアップします。また、そうした人こそが新規事業の最初のお客様になってくれるのです。

加えて、すでに課題の解決策を提供している競合企業があれば、その企業自体にもヒアリングを行います。「課題解決のためのサービスがあるのに、なぜまだ悩む人・企業がいるのか」「世の中では何がどこまで解決されているのか」の全体像を把握できます。また、場合によっては、その競合企業が顧客になるケースもあるのです。

顧客にヒアリングする内容

「新規事業の種を得る」ためのヒアリングでは、顧客の「意思・意見」ではなく、「事実」を聞くことが重要です。

「課題に対して具体的にどうしているか」「内製で行っているのか、別の企業に委託しているのか」「費用はどれくらいか」など、客観的な「事実」を積み上げていき、マクロとミクロの両面から課題の全体像を描いていきます。

何十人・何十社とヒアリングを続けると、やがて「実はここが課題なのかも」という気付き(種=インサイト)が得られるはずです。そこでようやく「では、我々に何ができるか」を考え、「新規事業として提供できる解決策(仮説)」を立てる段階(下記の図版におけるSTEP.2)に進むことができます。

なお、STEP.3にあたる「具体的な顧客課題検証の進め方」、STEP.4にあたる「プロトタイピングでの検証」については、また別の機会にご説明しましょう。

■新規事業開発の初期段階4つのステップ

顧客のところに300回行け

新規事業やイノベーションの成功率は、「千三つ(せんみつ)」、つまり1000件のうちわずか3件といわれます。価値が飽和した現代の市場では、簡単に解決できる課題はすでに解決済みで、残っている課題は不確実性が高く、構造が複雑なものばかりです。

だからこそ、成功の確度を少しでも高めるためには、顧客へのヒアリングを徹底的に重ね、課題への理解を深めていくことが重要です。

AlphaDriveでは、新規事業開発において「顧客のところに300回行け」を根本的な考え方としています。現場からの一次情報を積み上げ、顧客の理解を深めることが課題の核心にたどり着く唯一の方法です。

新規事業の立ち上げにおいて壁やつまずきを感じている方は、ぜひAlphaDriveにご相談ください。



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よくある質問

新規事業のアイデアが思いつかないときはどうする?

新規事業において、最初から完璧なアイデアは必要ありません。まずは「WILL」「自社課題」「アセット」「顧客課題」といった起点から、たくさんの「事業の種(インサイト)」を見つけ出し、仮説検証を繰り返しながら良いものを選別していく「多産多死」のアプローチが有効です。

新規事業のアイデアの見つけ方は?

事業の「種」は、「多産の方法」「アイデアの起点」「アイデアの起案者」「事業推進者」という4つの要素の掛け合わせにより見つけることができます。特に取り組みやすいのは、「WILL(個人の想い)」「自社課題」「アセット(自社の強み)」を起点とする方法です。より高いPMFを目指すなら、「顧客課題」を起点に、徹底的なヒアリングを通じて種を見つけていきます。

新規事業の初期にヒアリングすべき顧客は?

新規事業の初期にヒアリングすべき顧客は、「すでに課題解決のため、時間やお金といったリソースを投じていながら、解決できていない人(企業)」です。

本気で課題解決に取り組んでいる人へのヒアリングは、課題への理解が格段に深まります。また、そうした人が、実際に事業の顧客/利用者になってくれるかを次のプロトタイプのフェーズで見るという検証もできるのです。

なお、ヒアリング対象となる顧客を探索するときは、まず友人・知人や社内の同僚など、自分の身近な範囲から始めるのも良いでしょう。

AlphaDriveの新規事業開発支援について

AlphaDriveは、企業の新規事業創出を仕組みづくりから立ち上げまで、一気通貫で支援しています。
事業創出のインキュベーションから事業立ち上げ後のアクセラレーション、オープンイノベーション、R&D 組織での新規事業開発まで。これまでに 260 社を支援し、23,800 件の事業アイデアを創出、250 件の事業化・会社化を実現してきました。事業開発に対する伴走だけでなく、プロダクト開発、マーケティング、セールスなど各領域での実務支援を通じて、事業化後のフェーズを成功に導くご支援を行っています。

本コラムの監修者

土井 雄介

株式会社ユニッジ Co-CEO AlphaDrive東海 拠点長 株式会社アルファドライブ 企業変革事業部 新規事業経営エコシステムグループ ゼネラルマネジャー

東京工業大学大学院卒業後、トヨタ自動車に入社。改善支援業務、役員付き特命担当を担当。並行して、社内新規事業制度を共同立ち上げ。起案者としても2年連続事業化案件に採択。その後、社内初のベンチャー出向を企画し、AlphaDriveの創業期に参画。帰任後、トヨタ社内から事業を生み出す仕組み作りを実施すると共に、UNIDGEを共同創業。2023年よりトヨタ初の「若手社長出向」としてUNIDGE Co-CEO。同時にAlphaDrive東海拠点長に就任。その他、株式会社ユーザベース CEO室。株式会社SUMESHI 社外取締役。累計80社以上の企業支援に関わり、年間60本以上の講演、審査員としても活動。

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