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今さら聞けない 新規事業開発のキホン 【事業責任者がやってしまいがちな”イケナイ”プロダクト開発の進め方とは?】

0.導入

新規事業開発には、常に課題が山積みです。リソースや資金の確保、タイトなスケジュールなど、挙げればきりがありません。中でも、本日取り上げるのは「プロダクト開発」です。ノウハウがないまま手探りで開発を進めた結果、多額の費用がかかってしまった、というケースは珍しくありません。事業開発のキホン「プロダクト開発」を解説します。

講師は、株式会社東芝でエンジニア出身の連続社内起業家として、複数の新規事業を立ち上げ経験を持つAlphaDrive アクセラレーション・リードの金子祐紀が務めます。

記事内トピック

0.導入
1.「仮説検証プロセス」と「プロダクト開発」の両方を見ながら柔軟に進める
2.「開発ベンダーのコントロール」が成否の鍵となる
3.ベンダーとのトラブルパターン① 必要以上に高額な見積りになる
4.ベンダーとのトラブルパターン② 機能の追加に、多額の費用と時間がかかる
5.ベンダーとのトラブルパターン③ 開発途中やローンチ後に、個人情報保護に関わる問題が発生する
6.ベンダーとのトラブルパターン④ 画面デザインは注文通りだが、画面の表示に時間がかかる
7.ベンダーとのトラブルパターン⑤ ユーザーの増加でサーバーが落ちた
8.ベンダーとのトラブルパターン⑥ 内製化しようとしたが、必要な技術者を確保できない
9.注力すべきは「要件に合ったベンダー選定」と「ベンダーコントロール」

こんな方におすすめ

  • 新規事業創出に当事者として取り組み始めた方
  • 新規事業創出に挑戦したいと検討されている方

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1.「仮説検証プロセス」と「プロダクト開発」の両方を見ながら柔軟に進める

社内の新規事業プログラムの審査を通過し、新規事業の後半戦ともいうべき「アクセラレーションフェーズ(1→10)」までたどり着いた新規事業の起案チーム。これまでは簡単なプロトタイピングで検証を繰り返してきましたが、アクセラレーションフェーズになれば、スマートフォンアプリやクラウドサービスなど、プロダクト開発に本格的に取り組むことになります。

アクセラレーションフェーズにおけるプロダクト開発のポイントは、「ビジネス上の仮説検証プロセス」と、「実際のプロダクト開発」の両方を見ながら、柔軟に進めていくことに尽きます。細部まで仕様が決まっているものを忠実につくればよい「既存事業」とはまったく異なり、まだこの先、開発内容が大きく変わる可能性もあります。

例えば、実証実験で得られた顧客の声を反映して急遽機能を追加することになったり、競合の出現によって開発優先度が変更になったりと、戦略的にプロダクト開発に変更が生じることは珍しくありません。

反対に、時間や資金の面から機能の一部削減が必要になったり、想定していた性能を確保できなくなったりして、サービスの一部を人手で賄うようになるなど、開発の課題がビジネス戦略に影響を与えることもあります。

アクセラレーションフェーズに入ってもまだ、プロダクトもビジネスも不安定な状況は続きます。日々変化する状況にあわせて対応していく柔軟な姿勢が求められます。

2.「開発ベンダーのコントロール」が成否の鍵となる

プロダクト開発の重要なポイントが「開発ベンダーをどうコントロールするか」です。例えば「納品されたシステムにセキュリティ上の欠陥があり、顧客情報が流出してしまった」「想定外の追加コストが発生し、高額になった」「納期が遅れてリリースが半年遅れた」のような問題の多くは、ベンダーをしっかりとコントロールするによって防ぐことができます。

ここでひとつ例を紹介します。ある 新規事業のチームでは、下の図のようにベンダーへの依頼を行いました。

一見、新規事業チームは丁寧に依頼内容を伝えているようです。しかし、これでは全然足りていません。

というのも、「⚫︎⚫︎がほしい」のような「要件」は伝えていますが、優先順位や必要度、機能の閾値や振れの許容範囲といった「詳細」が抜けているからです。これでは、開発ベンダーのコントロールが効かず、ベンダーが“よしな”につくったシステムが上がってきてしまいます。

こうした依頼の結果、起こりがちなトラブルパターンがあります。代表的な6つをご紹介します。

3.ベンダーとのトラブルパターン①
必要以上に高額な見積りになる

例えば、本来なら5000万円くらいでできる開発案件の見積りが、3倍の1億5000万円になってしまう、といったケースは珍しくありません。しかもそのベンダーが、いわゆるぼったくりではなく、優良なベンダーでもこの問題は発生します。理由は大きく次の3つです。

1.要件が固まっていないために、ベンダー側は保険のためにバッファを積む

新規事業チームは、必ずしも「技術に詳しい人材」で構成されているわけではないため、開発の要件が曖昧だったり、固まっていなかったり、といったことも珍しくありません。

その状態で依頼を行うと、ベンダーは「依頼の内容なら500万円程度でできるが、要件が定まっておらす追加要件が出てきそうだから、多めに見積もりを出して対応出来るようにしておこう」と、変動に備えてバッファを取ります。その結果、見積りが高額になってしまうのです。

2.技術が分かるメンバーがおらず、高額であることに気づかない

さらに、技術に詳しい人材がチームにいない場合、見積りが高額になっていること自体に気づくことができません。もし開発の発注経験や知識があるメンバーがいれば、「見積もりのこの内訳は、なぜ高額なのか?」といった対話・交渉ができます。誰も分からなければ、バッファの見積もりがそのまま通ってしまいます。

3.技術的に難しい要件が盛り込まれている

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